洋服を作るときは、土台の型紙である「パターン」が必要です。このパターンを作るのがパタンナーの役割です。
主な仕事内容は、パターンの作成を含め以下のものがあります。
この記事では、洋服作りで欠かせないパタンナーになる方法や必要な技術、おすすめの進路などを詳しく紹介します。
目次
パタンナーになるには、デザインに関する知識のみならず服の構造や素材に関する知識も必要です。幅広い知識が求められるパタンナーですが、なるためには服飾系の専門学校で学ぶのが一般的です。ここでは、パタンナーになる方法を王道の「専門学校に通う方法」と「独学」の2つに分けて紹介します。
パタンナーになるには、服飾系の専門学校で学ぶ必要があります。パタンナーに必要な資格はありませんが、そもそもこちらは専門職です。
洋服作りに関する幅広い知識が必要になるため、服飾系の専門学校や短大・大学で勉強するのが基本ルートです。より専門的に、実践的なスキルを身につけたい場合はファッション業界のプロや、環境が整っている専門学校がおすすめです。
専門学校は2年制と4年制に分かれており、自分の目標や学習したい内容に合わせて決められます。ただし、大学・短大よりも時間に余裕がなく、服飾に関する勉強が中心なため大きな進路変更は難しいのがデメリットです。
その点、短大・大学では専門学校より時間に余裕があるうえ、服飾以外の科目も勉強できます。進路が定まっていない方や、大学生活中にさまざまなことを経験したい方におすすめです。とはいえ、専門学校ほどファッションに関する勉強はできません。
将来的にファッション業界に就きたい、パタンナーとして働きたいのであれば専門学校、進路が定まっていないのであれば大学・短大を選ぶとよいでしょう。
結論から述べると、独学でもパタンナーになれます。先述した通り、パタンナーになるのに必要な資格はありません。しかし、洋服に関する知識と技術が必要なため、独学でなるには難易度が高めです。
学校のように勉強できる環境を自分で整える必要があるため、一通りの知識を身につけるまで時間がかかるでしょう。周囲にパタンナー、ファッション業界で活躍している人がいるなど、人脈がある方は独学でもやる気次第で勉強できるかもしれません。
しかし、周囲にファッション業界の人がいない、効率よく知識を身につけたいのであれば、環境の整った学校に行くのがおすすめです。
パタンナーになるためには、さまざまな技術・知識が求められると言いました。ここでは以下の3つに分けて、必要な技術をより詳しく解説します。
それでは実際に詳しく見ていきましょう。
パターンメーキングとは、洋服の設計図を作るスキルのことです。ファッションデザイナーが描いたデザインをもとに、パターンを作成します。
次の項目で詳しく紹介しますが、パターンの作成方法は平面で行うフラットパターンメーキング(平面製図法)から、ボディに布を巻き付けてからハサミで裁断するドレーピング(立体裁断法)の2つがあります。
パターンは数ミリ違うだけで、洋服の印象は大きく変わってしまうものです。プロでも何度も微調整をして完成に近づけていくため、非常に丁寧な仕事が求められます。また、サンプルチェックや量産用パターンの作成なども、パタンナーの仕事です。
平面パターンとは、その名の通り平面状の紙にパターンを引いて裁断する方法です。計算式や方程式で寸法を決めるため、仕上がりが安定しているのがメリットです。大量生産に向いているため、日本の多くのアパレル企業では平面パターンが採用されています。
立体裁断よりサイズ修正がしやすいため、初心者が挑戦しやすいのもこちらです。一方で、デザイン時と完成時の洋服のイメージに相違が出やすく、フィット感や繊細なシルエットを表現するのには向いていません。
とはいえ、立体裁断にはないメリットがあるため、どちらの技法を使うかは場面や洋服で異なります。
立体裁断とは、ボディに布を巻いてからハサミで裁断する方法です。ドレーピングとも呼ばれます。立体裁断は実際のシルエットを確認しながらパターンを作成できるため、シルエットを表現しやすいのがメリットです。
身体にフィットするデザインや伸び縮みする服に向いています。デザイン時と完成時の相違を最小限にできるため、想像通りの洋服を作りやすいでしょう。一方で、1枚ずつ作成するため仕上がりが安定しておらず、大量生産には向いていません。さらに知識と技術が求められるため、初心者には難しい方法です。
最近では、服飾デザインに特化したアパレルCADを使ってパターンを作成するケースが多くあります。アパレルCADには、機械CADにはないパターンが搭載されています。
アパレルCADによって作業を効率化できたり、外注化ができたりすることから、CADを使えるパタンナーの需要は高まっています。したがって、パタンナーとして働くのであればCADスキルは必須でしょう。特に就職先や選択肢を広げたいのであれば、CADを勉強する必要があります。
作成したパターンからサイズ展開することを「グレーディング」といいます。グレーディングを手掛ける「グレーター」もいますが、パタンナーがグレーディングを行うこともあります。
しかし、グレーディングは微調整を重ねるため、手作業で行うのは非常に時間がかかるものです。
そのため近年は、効率化のためにデジタルソフトを使用する傾向にあります。それこそ、先ほど紹介したCADはグレーディングを使用するのが一般的です。
パタンナーに求められるスキルはさまざまですが、ここでは代表的な以下の3つを紹介します。
それぞれのスキルを見ていきましょう。
パタンナーにもっとも求められるスキルは、平面を立体にイメージする力です。そもそもパタンナーの主な業務であるパターン作成は、洋服を立体にするための型紙を作るものです。
大量生産に適している平面パターンで洋服を作る場合は、平面で描いたものが洋服になるとどのようになるのかを考えながら作る必要があります。平面パターン自体、立体裁断に比べて仕上がりのフィット感やシルエットに相違ができやすく、それを最小限にするためには平面を立体にイメージする力が必要不可欠です。
立体裁断でパターンを起こす方法もありますが、こちらは平面パターンよりもさらに高い技術が求められます。
洋服作りはパタンナー以外にファッションデザイナーやCADオペレーター、ファッションプランナーなど、チームで行うのがほとんどです。
完成度の高いパターンにはファッションデザイナーとのやり取り、生産チームとの会話が欠かせません。コミュニケーション能力が不足していると、意見が伝わらずイメージと違う洋服になってしまいます。
パタンナーは服の構造知識や制作スキルも重要です。洋服の着心地は使う素材で大きく異なり、中には伸びたり縮んだりする特性もあります。
着心地のよい服やシルエットが美しく見える服を作るには、洋服の構造や素材の特性を理解することが欠かせません。服の構造や洋服の特性を理解していないと、パターン作りのイメージとできあがった洋服のイメージの相違が大きくなるでしょう。
パタンナーに資格は必須ではありません。しかし、以下の資格を持っておくと有利になる可能性があります。
それぞれの資格を見ていきましょう。
パターンメーキング技術検定は、パターンメーキングに関する知識を問われるものです。3級はファッション業界のクリエイティブ職全般で求められる問題が出題されます。1級になると、実務経験5年〜6年の人を想定しており、高いレベルが求められます。
繊維製品品質管理士は、繊維製品に関する知識が問われます。取得はかなり難易度の高いものの、繊維産業や関連作業の品質管理で働くには高く評価されるため取る価値は十分にあります。
洋裁技術検定は、洋裁に関する知識が問われます。企業によっては、洋裁技術検定試験の取得者を募集していたり、研修制度が用意されていたりもします。初級、中級、上級の3つで、上級は高い知識と実技力が必要です。
CAD利用技術者検定は、パタンナーとして働くのであれば取得しておきましょう。近年はCADを使ってパターンメーキングをするため、選択肢を広げたい方は取るのをおすすめします。試験は「2次元CAD利用技術者試験」と「3次元CAD利用技術者試験」の2種類がありますが、アパレルの場合は、「2次元CAD利用技術者試験」です。
パタンナーはデザイナーのデザインの意図を汲み取り、コミュニケーションをしながらパターンに起こします。裁断は数ミリずれるだけで仕上がりが大きく異なるため、高い精度が求められる仕事です。
そのため、コミュニケーション能力の他に手先の器用さや、1つのことに打ち込める人などが向いています。
パタンナー向いている人
反対にせっかちな人や、感性で仕事を進めていきたい方には向かないでしょう。ファッション業界=センスと思われがちですが、パタンナーでは的確に丁寧に仕事をする必要があります。
ここでは、パタンナーの主な就職先である以下の3つを詳しく紹介します。
一口にパタンナーといっても、就職先で働き方や役割は大きく異なります。パタンナーとして働きたい方は必見の内容です。
1つ目はオリジナル自社ブランドを抱えているアパレルメーカーで働く方法です。こちらはパタンナーの主な就職先です。はじめは簡単な仕事から始まり、経験を積むと大きな仕事も行います。就業時間は雇用先の企業で異なりますが、展示会や繁忙期は遅くまで仕事をすることもあります。
百貨店系ブランドの場合は分業が基本なため、幅広い工程を一人で担うことは少ないでしょう。しかし、デザイナーや他のパタンナーとコミュニケーションを取る機会は多く、コミュニケーション能力が求められます。
さらに立体裁断のブランドもあるため、高い技術も求められるでしょう。パタンナーとしての実力があれば、好きなブランドで働ける可能性があります。
2つ目は商社やOEMメーカーで働く方法です。メーカーによってはパタンナーを雇わず、パターン作成を外部の企業に依頼しています。その委託を受けて働くのが、こちらの方法です。
パタンナーであるため当然パターンを作りますが、仕様書の作成や修正など、外注先の管理をするポジションを任せられるケースもあります。
就職先ではないものの、フリーランスとして働くパタンナーもいます。フリーランスの場合は企業や個人から依頼を受けてパターンを作成します。フリーランスは企業に属していないため、実力と営業力が必要です。
しかし、ライフスタイルに合わせて自分のペースで働けるのは、フリーランスならではのメリットです。さらに実力次第で収入がアップする可能性もあります。一方で、納期や進捗情報などをすべて自分でしなければなりません。成果報酬型なため、自己管理できないと収入が減少するデメリットもあります。
パタンナーの学校にも、さまざまな種類があります。自分に合った学校を見つけ、パタンナーとしての可能性を広げるためには以下の4つを基準に選ぶとよいでしょう。
それぞれの選び方を紹介します。
パタンナーは知識だけではなく、高いスキルも必要とするため経験豊富な講師が所属しているのが望ましいです。指導に力を入れている学校では、先生をしながらパタンナーとしても活躍している講師が在籍しています。
現場に出ていないとわからないスキルを身につけられるのはもちろん、就職先で悩んだときも参考になる話が聞けるでしょう。
パタンナーを学ぶといっても、具体的なカリキュラムは学校ごとで違いがあります。習得できる資格や身につくスキルはカリキュラムで異なるため、あらかじめ学校のカリキュラムを調べておくとよいでしょう。
カリキュラムはホームページやパンフレットに記載されていますが、わからない場合やイメージができないときはオープンキャンパスに行くのがおすすめです。
パターンの勉強をするからには、パタンナーとして働きたいものです。そのため、就職サポートが充実しているかはとても重要です。
就職に力を入れている学校では、親身なアドバイスをくれる担当者がいる就職相談室があったり、いろいろな企業の就職関係の資料があったりと充実しています。就職先の選択肢を広げたい、すでに働きたい企業がある場合は、就職サポートが充実しているに越したことはありません。
資格取得率の高さも重要です。前提として、パタンナーとして働くにあたって資格は必要ありません。しかし、未経験で働くのであれば資格が有利になることがあります。「パタンナーに必要な資格」でも紹介したような資格があるとよいでしょう。
また、取得できる資格が多いほど指導や就職に力を入れている証明にもなります。
パタンナーになるにあたって資格は必要ありません。しかし、高い技術を求められるため、専門学校で学ぶのがおすすめです。専門学校であれば現場でパタンナーとして活躍している講師が直接指導してくれたり、カリキュラムが整っていたりと効率よくスキルを身につけられます。しかし、専門学校は種類が多くどこに通うべきかわからない方もいるでしょう。青山ファッションカレッジでは、服飾デザインからパターンメーキング、CADなど幅広いスキルを身につけられます。実際に企業で行われている業務に参加して、実践的な学習ができます。気になる方はぜひオープンキャンパスへお越しください。表参道駅徒歩1分、ファッションの中心地です。
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